2009年10月19日

BAM

2001年に米ガートナーにより提唱されたBAMは、Business Activity Monitoringの略で、「ビジネス活動のモニタリング(監視)」を意味する言葉です。ここでいうビジネス活動とは、複数のアクティビティで構成された一連のビジネスプロセスを指し、そこには作業手順をはじめ、担当者、承認フロー、期日、コストなど、ビジネス目標の達成に向けて設定されたさまざまなルールが存在します。これらのルールに従って、ビジネスプロセスが正しく実行されているかどうかをリアルタイムに監視しようというのがBAMです。

 ビジネスプロセスを最適化するための取り組みにBPMという考え方がありますが、BAMはBPMを効果的に推進する上での重要な要素となります。BPMは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(チェック)、Action(改善)の4つのプロセスからなるPDCAサイクルを継続的に回していくことで、経営目標の達成に向けた最適なビジネスプロセスを目指す活動です。ここでは、常に現状の問題点を正確に見極め、より良い成果を生むための仕組みづくりに的確に反映していくことが求められます。しかも、そのスピードは早ければ早いほど良いと言えます。なぜなら、昨今の企業が問われている「変化への対応力」という意味において、大きなアドバンテージになるからです。

 そこで、BAMのような仕組みが威力を発揮することになります。BAMは、ビジネスプロセスの実行状況の監視を通じて、「今、どこで、何が起こっているのか」をリアルタイムに収集し、作業をしている“その時、その場で”問題点を顕在化する役割を果たします。これにより、しかるべき担当者に迅速かつ的確な意思決定とアクションを促すとともに、処理の遅延や中断、間違った判断や操作といったビジネス上のリスクを未然に回避することができるのです。もちろん、意図的にルールが守られないようなケースに対しても、BAMがイレギュラーな処理を検出。内部統制やコンプライアンスへの取り組みを支える仕組みとしても有効に機能します。

 ただ、このように即時的に問題点を検出する仕組みは、人間の監視の目だけで実現しようにも限界があります。そこで、テクノロジーの力を借りることになります。現在、BAM機能を組み込んだソフトウェア製品がベンダー各社より提供されており、これらの多くは、単にビジネスプロセスの実行状況やパフォーマンスを可視化するだけでなく、なんらかの異常を検知すると自動的に警告を発信し、担当者に“気づき”を与えてくれます。これが「イベント駆動型」と呼ばれる理由です。たとえば製造業を例に取ると、受注件数と生産に必要な部品在庫とのズレをBAM製品が監視し、在庫が一定基準を下回っている場合に担当者と管理者の画面にアラートを表示します。こうすることで、担当者は在庫が不足してから気づくのではなく、早めに部品の追加発注をかけることができ、一方の管理者は生産計画の見直しをかけるなど、適切なアクションにつなげることができます。

 ビジネスプロセスの実行結果をもとに問題点の抽出、検証を行うビジネスインテリジェンス(BI)との違いは、BAMでは徹底して「即時性」が重視されていることでしょう。得られた情報をビジネス上の意思決定に活かすという意味では共通していますが、蓄積されたデータをもとに分析するか、リアルタイムなデータを監視するかという点で大きく異なります。いずれも問題解決を支援するための有効な手法であり、PDCAサイクルにおいてこの2つを組み合わせれば、より効果的な業務改善が期待されます。

Posted by 織田信長 at 19:39│Comments(0)
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